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  << 独占禁止法/カルテル(談合) その7 >>

      ◎◎  まとめ  ◎◎

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 課徴金の引き上げなどの厳罰化を盛り込んだ改正独禁法の施行や、現職県
知事が逮捕された官製談合などをきっかけに、建設業界に大きなニュースや
変化がありました。

 今回は、6回連載した<<独占禁止法/カルテル(談合)>> のまとめです。

◆ 官製談合

 一昨年末頃、福島県、和歌山県、宮崎県の三県で知事が在任中に官製談合に
関与したなどの疑いで逮捕されました。

 三県で知事が関わった談合事件の共通点は知事選絡みということです。
選挙資金集め等の支援をしてくれた業者のために、知事が「天の声」を発し、
工事の落札の指示などをしていました。

 県知事は、地方の「大統領」と言われるほど強大な権力を握っていますの
で、業者にしてみれば、知事からの力添えは絶大です。
そのために、知事候補をあらゆる手段で選挙で応援。一方、当選した知事は
選挙戦時の「借り」を返すという、もたれ合いの構図です。


◆ 名古屋地下鉄談合

 昨年の2月末に、名古屋市発注の地下鉄工事を巡る談合事件で、公正取引
委員会が独占禁止法違反の疑いで告発し、名古屋地検特捜部によって談合に
関係したゼネコン5社の関係者が逮捕されました。

 今回立件されたのは、受注した5社のうち「ハザマ」が、談合の事実を申
し出たからです。

 改正独占禁止法では、課徴金の引き上げ等、違反企業には厳しい処置が課
せられる一方で、自主申告した企業は課徴金の減免や告発を免れるという
「アメ」も用意されたからです。

実際、公正取引委員会は「ハザマ」の告発は見送りました。

 告発を免れるこの制度については、賛否両論があるようですが、非常に外
部に情報が漏れにくい「談合」の悪事を暴くには、このような「アメとムチ」
は必要かと思います。


◆ 入札改革案

 福島県、和歌山県、宮崎県の三県で続いた談合事件を受け、全国知事会は、
談合防止に向けた入札改革案(指針)を一昨年12月に発表しました。

この入札改革案の1番目のポイントは、一般競争入札の拡大です。
(原則入札参加希望業者が競争するのが、一般競争入札です)
 
 発注者側が指名した業者同士で競争する指名競争入札は、発注者が恣意的
に業者を指名したり、業者間ので談合をする可能性が高まりますので、多数
の業者が参加できるような一般競争入札の拡大案が出た訳です。

 その結果、多くの県で一般競争入札の導入率が向上しました。
昨年秋時点で、下限額が1000万円以下だったのは、長野県、宮城県、山
形県のみでしたが、この改革で20都道府県と急増しています。

 もう1つのポイントは、入札に参加できる業者のエリアの拡大です。
入札に参加できる業者のエリアを狭めると、数社以下しか参加しない可能性
があり、実質的に指名競争入札と同じ状況が懸念されるからです。

 尚、この改革の中心人物は、岩手県の増田知事ですが、この指針を推し進
めた狙いとして、「指針が出れば、各自治体は改革理由を知事会のせいに出
来る。」(だから改革案が浸透し易い)と、コメントしています。

県知事にしても自治体にしても、自ら変革を起こすことが嫌いなようですね。


◆ ゼネコンの対応

ゼネコンなど建設業界側の対応について説明します。

「ゼネコン」とは、建築工事、土木工事を総合的に請け負い、設備業者等を
下請にして工事管理全般の責任をもつ総合建設業のことです。

ゼネコンも売上規模によって、スーパーゼネコン(大手ゼネコン)、準大手、
中堅、地方ゼネコン、等に分かれます。

 スーパー(大手)ゼネコンは、清水建設、鹿島建設、大成建設、竹中工務
店、大林組の5社で、建設工事の施工を事業の中核としつつ、設計部門、エ
ンジニアリング部門、研究開発部門のような幅広い技術分野も持ち合わせて
います。

 準大手は、単独売上が2500億円以上の会社で、戸田建設、西松建設な
ど10社程度あります。
準大手でも熊谷組、以前の名古屋地下鉄談合事件で自首した「ハザマ」等の
6社は、金融支援を受けており、非常に財務体質の悪い会社が多いです。


 日本のゼネコンは、バブル崩壊による建設や工事需要の低迷や、公共事業
の縮小などにより、1990年代後半から準大手以下の中小規模ゼネコンが経営
破綻をしたり、銀行の債権放棄やグループ企業などの金融支援によってなん
とか生き延びているのが数多くみられているのが現状です。

 ここ数年は、景気低迷が緩やかに回復していますが、公共事業投資の増大
は期待できません。
そして改正独禁法の導入は、さらに大きなダメージとなっています。

 大手のゼネコンは、従来より会社のイメージアップや実績作りのために、
国家プロジェクトや著名な物件を、採算度外視で受注することがあります。
それでも、談合を続けていればある程度の利益確保や、他の物件での利益補
填も出来ました。
しかし、改正独禁法の導入により談合による受注調整が困難になり、また景
気回復による労務費等の増加によるコスト高も重くのしかかってきています。

 準大手ゼネコンは、大手ゼネコンの体力勝負の競争(受注調整が出来ない
中での受注合戦)に巻き込まれ、利益率が急低下しています。
大手と比較して、物件を数多く確保できないため、下請け業者も大手ゼネコ
ンと同じような厳しい条件では受けてくれないので、より一層厳しい利益状
況にあります。


今回テーマを連載してからも、枚方官製談合、大林組社長の辞任など、カル
テル(談合)についてのニュースは絶えることがありませんでした。

個人的な意見ですが、これからも水面下では談合は続くと思います。
そのためには、独占禁止法のより一層厳しい「ムチ」の設定や、勇気ある内
部告発者の保護が必要です。

また冷たい言い方ですが、建設業界はもう一段の再編・淘汰が避けられない
ように思います。







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